現代をサバイブする人々~半自給農民という生き方~
ばたおさんを取材してみた 第二回 賃労働について

第二回 賃労働について

ーー現時点では完全な自給自足は困難である以上賃労働もしなくてはならないわけですが、ばたおさんは具体的にはどのような働き方をされていますか。

河内長野へ越してきてからこの5年間ですが、はじめの1年間くらいはまったく働いていませんでしたね。で、その後1年間くらい週2,3日くらいで法律事務所で働いていたんですけど、それからまた1年間くらい働いていなかった。今は2年工場に勤めています。だから5年の半分くらい、しかも週2週3くらいしか働いていない(笑)
今はそれなりに働いていて1日8~10時間くらい。それが週2、週3くらい。基本的に勤務日数を減らしたくて。1日に6時間働くのも10時間働くのもあまり変わらないと思っているんで、どうせ出勤するんなら、ついでだから、なるべく1日に長く働きたくて。できれば週2くらいで働きたいんだけど、会社が「週2はちょっと困るから週3くらい出勤してほしい」って。だからだいたい週3くらい。それでもしょっちゅう休むんですけれどね(笑)
本当にたまたまなんですが、賃金は低いんですけど、めっちゃユルいんで、その点では満足していますね。嫌な人は嫌だと思うんですけれどね。もっとバリバリ働くからもっと給料くれっていう人には、あまり向かない環境でしょうから。ぼくはそんなにお金いらないからユルユル働きたいって人間だから、そういう点では自分に合っているので、2年続けて3年目に入っています。もっとも、これから先も続けるのか、辞めるのか、それともクビになるのかは分かりません。


ーー収入はどの程度になりますか。

今は年収100万いかないくらいなんです。やっぱりアルバイトなので稼ぎの効率も悪いっていうか、ほとんど最低賃金に近いんですよ。大阪府内の最低賃金適用されるんで、相対的には高いっちゃ高いと思うんですけど。そういう意味では行政区分上大阪府なので、その特典はあるかなと。ただ、この辺だと就職口は大阪市内まで行かないとあまりないって感じですね。


ーー100万円切ったら保険料や年金も免除とかありますよね。

その辺の計算はしていて。所得税と住民税と年金と健康保険のうち、低所得なので所得税と住民税はかからないんですね。かからないようにしているんですけど。年金は免除申請ってのをやったら半額納付したことになるので。だから公的な支出は基本的に健康保険だけです。
自治体によっても違うんですけど、103万とか超えると税金額一気にかかって、122万超えてくると思いっきりかかるんで。122万は絶対こえないようにして、できれば103万超えないように目指しているんですけど。まあ103万のラインに関しては超えたら超えたで別に払うし、そのへんはストレスにならんようにしています。103万は絶対に超えないようにしているというわけではありません。

※参考
現金収入の問題――どれぐらい稼ぎ、どのように稼ぐか?
http://silentterrorism.blog.fc2.com/blog-entry-4.html


ーー支出を抑えるというのも大事ですよね。100万でも馬鹿みたいにお金使ってたら一瞬で消えますから。

収入は少ないけど、全然お金を遣わないので一応貯金はしています。貯金と言っても端金しかできないから、100万稼いで100万全部使ってもいいとは思うんですけどね。どうせ貯金って実際のところ1000万2000万ないと…いや1000万2000万レベルでも何かあったらすぐ吹っ飛んで役に立たないので。ぼくみたいに1000万2000万に届かないような貯金やったら無きに等しいやろうし。ただ神頼みじゃないけど精神的な余裕のために貯めているという面はある。


ーー端金でも、あるのとないのでは余裕の持ち方が違いますからね。

例えば、パソコン壊れたから買い替えなあかん時とかね。どんだけ安くても数万円は出ていくと思うんで、その時のために無いと困りますから。実利はないけど精神的余裕のために貯金。だから出発点として河内長野に土地というか家を固定資産税と都市計画税だけで使えているっていうのはちょっと有利なんじゃないかって。それを自分だけで使っていてもしょうがないので、家を使って学習会とか会議とか人が集まれるような場所として、恒常的に住開きとかはしてないんですけど、できるだけお金のかからない空間として提供するようにしています。


「年収100万でどうやって食っていくんだ?」と思う方もいるかもしれない。しかしばたお氏によれば、お金さえ遣わなければ年間支出100万円前後でも十分生きていけるとのこと。
(参考:https://twitter.com/batao_hetare/status/786098399770714112

シンプルだが、出費を抑えること、稼げる仕事より楽な仕事を選ぶことが重要か。いきなりウルトラCを求めるのではなく、寡欲さや地道にできることから始めてゆく堅実な姿勢を見習うべきかもしれない。 次回のテーマは氏の来し方行く末についてである。現在の活動に至るまでの経緯が中心となるが、将来の展望についても少しだけ語っていただく。

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